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第82回都市対抗野球大会第10日の31日、仙台市・JR東日本東北は準決勝で、東京都・JR東日本に3−6で敗れた。初回に失った5点が重く、中盤に追い上げたものの力尽きた。東日本大震災の被災地代表との思いを胸に、「東北や宮城に勝利を届けたい」と大舞台に臨んだナイン。チームとして初、県勢として7年ぶりの4強入りを果たし、スタンドから「よく頑張った!」と大声援が送られた。【須藤唯哉、中村宰和、高橋隆輔】
▽準決勝
JR東日本(東京都)
500010000=6
000120000=3
JR東日本東北(仙台市)
5点を追う四回裏、先頭の近藤恭平一塁手が右越え二塁打で出塁する。「チャンス! チャンス! JR」。一塁側スタンドの約800人は、重苦しい空気を吹き飛ばすように声を張り上げる。打席に入るのは、「絶対1点が欲しかった」という主将の長谷部純遊撃手。期待に応えて右翼線に連続二塁打を放ち、1点を返した。
五回表に1点を加えられて再び5点差となったが、選手たちの心は折れない。その裏、無死一塁から藤井亮太二塁手が左越えに適時二塁打を放つ。菅原翔左翼手も中前適時打で続いて3−6に。割れるような歓声がスタンドを包む。
序盤から苦しい展開を強いられた。
今大会全4試合で先発した森内寿春投手が初回、不運な当たりもあって5安打を集中され、5点を失った。スタンドには嫌なムードが漂う。得点を重ねるたびに盛り上がる相手側スタンドの声援がドーム中に響いた。
しかし、森内投手はその後立ち直り、二回から六回まで1失点で切り抜けた。七回からは準々決勝と同じく、新人の宮本俊輔投手がマウンドに。3回を投げて被安打1の好投で、味方の反撃を待つ。スタンドも逆転勝利の再来を信じている。応援団員の阿部久乃さん(23)は「これまで終盤に得点してきたので、逆転を信じて応援を続けるのみ」と汗をぬぐった。
しかし、打線がいつものようにつながらない。九回裏も無死から四球を選ぶが、次打者の遊撃へのライナーで併殺となり、一気に2死。最後の打者が遊飛を打ち上げ、快進撃は終わった。
試合後、グラウンドで長谷部主将が大会3位のチームに贈られる「黄獅子旗」を受け取ると、スタンドにはブラスバンドのファンファーレが鳴り響いた。「ありがとう!」「よく頑張った!」。粘り強い戦いでチームの歴史を塗り替えたナインがスタンドに向かって整列すると、観客からねぎらいの声が飛び交った。
◇2種類の横断幕
○…「絆 今こそ東北の底力を! 声援を力にかえて!」「がんばろう日本! がんばろう東北! ありがとうの想(おも)い、一つ一つのプレーに込めて」。五回の攻撃終了後、スタンドには2種類の横断幕が交互に掲げられた。長さ約15メートルで、東北地方の地図入りだ。1回戦から毎試合掲げていて、応援団副団長の下川卓思さん(25)は「被災地に夢と希望を与える意味合いの強い大会と思い、被災地からメッセージを伝えたかった」と話していた。
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■希望の星
◇父超え、再び大舞台へ−−JR東北・藤井亮太二塁手(24)
親子で臨んだ初めての大舞台。「思ったよりも緊張しなくて、周囲が見えていた」。リードオフマンとして予選から先発し、本大会でチーム初の4強入りに貢献した。
父の藤井省二監督は川崎製鉄千葉(現JFE東日本)で捕手として活躍、都市対抗野球で4強入りを2度経験し、ベストナインに選ばれたこともある。
幼いころから父親が出場する全国大会には必ず足を運んだ。大声援の中で打席に入る父の背中を見つめ、「声援がすごいイメージがあって、いつかここでプレーしたいと思ってた」。父の後を追って野球を始め、社会人野球の大舞台にあこがれを抱くようになった。
社会人2年目の今年、ドームに快音を響かせた。準決勝でも5点差で迎えた五回裏無死一塁、「ランナーを進めたかった」と5球目の直球を左越えに打ち返し、適時二塁打。意地を見せた。
続く六回裏には2死一、三塁の好機で打席に。追い込まれた後に藤井監督から「球を見極めろ」とアドバイスされたが、ボール球を空振りして三振に打ち取られた。「1番打者としてはまだまだ。打てないとチームから信頼は得られない」。父を超える選手に成長し、再び大舞台を踏むことを誓った。【須藤唯哉】
11月1日朝刊
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